「死を想ってみる」



武士道、葉隠に

「はじめに死んでおく」

というのがあります。

この言葉、かなり深いと思います。
意味としましては、「死を覚悟して何事にも取り組めば、大抵のことは何とかなる」ということでしょうか。

この「死」。
人間世界で、唯一絶対と言えることが人は必ず死ぬということです。
死なない人は、今のところはこの世の中に誰もいないわけであります。

しかし、この世の中で、死を体験した人もまた、誰もいないわけであります。

最近の研究で、臨死状態での記憶は、脳が幻想を見せているだけであり、死後の世界を見ていたわけではないとのことだといいます。

ですので、「はじめに死んでおく」と言われても、死んだ人の経験を聞けるわけでもないし、ましてや自分で経験できないわけです。

だけれども、昔の武士たちは死生観を持って、城主に命を預け、文字通り「いつでも死ねる覚悟」を持っていたのでしょうね。

死を覚悟することで、今まで見えなかったものが見えてくるようになる。それは目で見ていたもので無い、何かなのでしょう。

死んでは体験できませんが、死なないとわからない世界。いつまでたってもたどり着けない境地を目指すことこそが、本当の魅力ある旅なのでしょうね。

さて、現代の日本人に、いや、わたし自身にその「死生観」とやらが、果たしてあるのでしょうか。

昨日と明日の一直線上に今日があるという感覚。そろそろ脱却しないとなぁ。

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