元川「致富の鍵」
この本は色々な偶然が重なり、僕の手元に来たのでした。多分お勧めしてくださった方は、僕が金銭的に困っていたことに対しての切っ掛けになればという思いだったのだと、今となっては思います。
さて、この本は、幕末から明治の時代に越後から江戸に出てきた少年が一代で財を成した大倉財閥の創始者、大倉喜八郎の後年におけるインタビューを纏めた本であります。仕事とは何たるか、お金とは何たるかを色々な角度、体験から大倉氏の言葉で語られています。
その中で印象的な文章がありましたので引用いたします。
元来、人の信用は一朝一夕に得らるるものではない。一つの仕事についての一つの信用は長年月の間、その事業に従事して、その事業の瑣末なる部分に至るまでも一々成功し、その成功が積み積まれて、しかして初めて信用が生ずるものである。見よ、歴史は好箇の教訓を与う。豊臣秀吉の成功のごときは最も好実例ではないか。彼は最初より太閤ではない、将軍ではない。また彼は羽柴筑前守としてのみ豪かったのではない。木下藤吉としてもまた豪かったのである。信長の臣として、馬の履を取りしとしも、足軽たりしときも、皆よく成功したのである。即ち小さなるときにも悉く成功した。この成功が積りに積りて、もって初めて豊臣秀吉となり、それが天下の認むるところとなり、信長の知るところとなりて、かの偉大なる成功を全うしたのではないか。世人ややもすれば眼前に与えられたる物事を閑却し、対岸のあるものを得んとするは、秀吉が草履取りをせずしてただちに羽柴筑前守たらんとするに同じである。かくのごとくにして果たして資本主義も信用を払うことが出来ようか。
引用終わり
大倉氏の一言一言が心にずしりときます。しかも平成も終わる現代だからこそ、資本主義経済の終焉たる時代だからこそ、読む本なのだと思いました。
目の前のことを全力で行う。それが強いては周りに認められ、気付けば財をなすことになるのだろう。
ありがとうございました。
0コメント