「気づかせて動かす」江口 浩平

京都逆のものさし講に通い始めて3年になる。
元々身銭を切って勉強会に参加することや、知らない人ばかりいる場に飛び込むことに抵抗はなかったのだが、「逆もの」だけは欠かさず参加しなければきっと後悔してしまうだろうという、半ば強迫観念にも似たものに駆られるようになってしまっている。
勿論いい意味でなのだが…。
この一年くらいは、聴講生の近況報告の時間に本を一冊紹介するようにしている。京都の先輩方は笑顔で聴いてくださっているが、実際に手に取ってくださっているかどうか甚だ疑わしい。(笑)
先日は平尾誠二さんと山口良治さんの共著「気づかせて動かす」(PHP文庫)を紹介した。
私は大阪の堺という政令指定都市で小学校の教員をしている。教壇に立ってもうすぐ10年が経とうとしているが、日々子どもたちと関わっていると、「自分の手を離れて次の学年にあがるときに、一体どんなものをこの子たちに残せてあげられるだろうか」一抹の不安が沸き起こる。
そんな中で本書を手に取った。実はこれにも経緯があって、前回の京都逆もので聴講生の中村さんが平尾誠二さんの「理不尽に勝つ」(PHP研究所)を紹介されていて、自宅の本棚に眠っていた「気づかせて動かす」を再読したところ、今回こちらで紹介しようと思えるほどの感動を覚えたのである。
平尾誠二さんと言えばラグビー日本代表にも選ばれるほどの優秀な選手である。山口良治さんは映画スクールウォーズのモデルとなった伏見工業高校の監督であり、平尾さんをスカウトした人物だ。
本書は対談形式で進むのだが、そのキーワードになっているのが「気づき」だった。平尾さんも山口さんも自らの成長や向上の要因を、「矢印を相手に向けずにまず自分に向ける」というふうに表現されていた。何かあると、全部自分の責任。そう言い切ってしまうと、見たくない自分の弱さ、醜さなどと嫌でも向き合わざるを得なくなってくる。それでも、そこから逃げずに「それでは次はどうするか」を考えられる。
逆もので学んでいく中で、この「矢印を自分に向ける」ということが大切だと思うようになった。
子どもたちにもことあるごとに「気づき」の大切さを共有していきたいと思う。

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