第2回 「仕事」episode5 ②
先輩は彼に「お前は、入社の宣言文で『当たり前のことを当たり前にする』って書いてたよな。
点検の声をなぜかけない?」と問われます。
痛いところを突かれた彼は、「そのとおりです。すいません」と答えます。
その後に先輩は、「できるか?」と優しく教えてくれたそうです。
その日から彼の点検人生が始まります。
でも恥ずかしいし、同期には馬鹿にされるしやりたくなくなるのですが、そんな時ふと先輩を見ると抜け目なく「よーし!」と大声で徹底しています。
その姿を見るたびに「やるしかない」と言い聞かせます。
そうこうしているうちに半年が過ぎた11月ごろから見たこともないいろんな人から声をかけられます。
係長や課長や工場長、「彼を見習え」ということで、終いには他の部署から見学者まで。彼は僕に言いました。
「先生、僕は先輩のお陰で厭なことの見方が変わってきました。そうすると、周りも変わってきました。
『作業』を素敵にやると『仕事』になるんです。倉庫は先輩と僕の声で賑やかですよ(笑)」
僕は、彼から凄いことを学びました。
『作業』は誰でもできると思います。
それを、『仕事』にすることが人なのではないでしょうか。
素敵に自分しかできないこと。
それが、『仕事』ということを教えてもらいました。
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