谷川俊太郎「みみをすます」
誰もが一度は口ずさんだ谷川俊太郎さん。
100冊近い詩集を発表されています。
この詩集は福音館書店さんからの出版
1982年初版です。
夜空の壮大さと悲哀、日本語の繊細な質感と赤子の指の柔らかさが同時に迫るような文章に心うたれました。
長文のため不本意ではありますが一節を抜粋し引用させていただきます。本来は縦書きの文章で、
構成から行間、フォントの細部にまで気が込められた美しい本です。
この横書き文字では本来の良さが伝わらないかなと心配をしつつ、ご紹介させて頂きます。
ぼくは
うまれた
ほろびさった
いきものの
かせきをけずって
かわがながれ
そのうえのそらは
どこまでも
あおい
このほしに
わけもわからず
ははおやのちぶさに
すがりつき
ぼくは
ないた
なきながら
うまれた
ぼくは
ねむった
ひとが
ひとを
ころしている
くらやみに
よりそって
ねむる
からだの
ぬくみにまもられ
だまっている
あまのがわの
きしべで
まだやわらかい
つめを
のびるにまかせた
(もういいかい
まあだだよ)
(引用以上)
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